ナニワ商人の知恵と習慣

商売人と言われる大阪人のDNAに宿る「ナニワ商人(あきんど)」の知恵と習慣

2013-01-01から1年間の記事一覧

裏金は「お悪」(3-3)

お悪はごく一部の利潤のために動くものだから、たちまち悪事が露見した場合にはストップしてしまう。これは昔も今も同じことである。が、こういった時代にこそ新機軸の金の運用が新しい方法で儲けの糸口になるものだ。 時代の間隙を縫うというやつだ。世間で…

裏金は「お悪」(2-3)

この職種は、将軍とか大名の身のまわりの雑務を一手に引き受ける役人であり、祝言事があったり、衣配りといわれる一門一統や奉公人一同に衣服を配る習慣の予算を一手にもしていたわけだ。だから、この小納戸方に袖の下とか鼻薬を嗅がせておけば、それなりの…

裏金は「お悪」(1-3)

どの時代にも、常に好況の時と不況の時がある。どちらの割合が多いかということになると、やはり不況の時代の方が多い。山が少なくて、やはり谷が多いということになる。どの時代も商売人も庶民も暮しにくいのが常である。 なぜ、そういうことになるかという…

小判は利発なもの(5-5)

アメリカの貧乏画家が鉛筆の底にケシゴムを付けたのに似ているし、保険勧誘員だったウォーターマンが先の割れないペン先を作ったのとよく似ている。 大きな資金を投入して損をする前に、金のいらない頭の回転で発明品を作り出し、それが売れるメドが立つと、…

小判は利発なもの(4-5)

「養子に迎えはったからには、御主人を江戸三番ぎりの両替にまで伸ばしまっせ。ま、ま、楽しみにして長生きしておくなはれ」と、実にたのもしい宣言をした。丁稚は、家督倍増のためにと、養父と養母の両人を翌日からお寺に参詣させ、説教を聞くようにさせた…

小判は利発なもの(3-5)

この丁稚の言葉にいたく感心した主人は、早速この話を親類一同にして、この丁稚を養子にして、家督一切を丁稚に譲りたいと相談をかけた。この主人の行為は英断といえる。なにしろ相手は十四歳の丁稚である。番頭、手代という者もいるというのに丁稚に目を付…

小判は利発なもの(2-5)

従って、商人として目のきく経営者は息子の度量才量を冷静に見抜いた上で、これを切り捨てて、他人の才覚を評価する。つまり、養子として登用し資産の倍増を目論むわけだ。この具体例を井原西鶴先生は、「日本永代蔵」の中の、「見立て養子が利発」という一…

小判は利発なもの(1-5)

商は笑なり。 商は勝なり。 と書きすすんできた。商売というものは、商人本人も客も笑顔で接して、物の取引をして、結果としては、商人が勝つ(儲ける)というふうにもっていかなくてはいけないということである。商は笑にして勝なりというわけだ。が、商人…