ナニワ商人の知恵と習慣

商売人と言われる大阪人のDNAに宿る「ナニワ商人(あきんど)」の知恵と習慣

2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

先手必勝(4-4)

-辞卑クシテ備エヲ益ス者ハ進ムナリ。 これは、相手が下手に出てくるのは攻撃を狙っているのだから十分に警戒した方がいいということである。 -辞強クシテ進駆セントスル者ハ退クナリ。 これは、強がりばかりをロにして攻めるような様子を見せる敵は、逃げ…

先手必勝(3-4)

たしかに、この考え方は商いをする上で有利に働く。実業家の成功した人たちは一様にこの精神に基づいた行動をしているものである。先ず同業者が考えない新製品を開拓した者が市場を制する。先行者が儲けているからといって同様の製品を売り出したとしても、…

先手必勝(2-4)

「先手必勝」などという。将棋などにも用いるけれども、商売に用いる場合が多い。先ず相手を食うような戦術を用いるのがいいという意味だが、この場合は、あくまでも相手と自分が同じような立場であってこそ成り立つものだということである。 対々の立場であ…

先手必勝(1-4)

商は笑なりという大阪的発想は既に述べたが、これを一歩進めて、商は勝なりについて考えていこうと思う。笑、商、勝、いずれもショウである。商いは笑いをもって相互に共感を持つことが出来るが、やはり商いは勝たなくてはいけない。とくに同業者に於いては…

スペッシャリストの衿特は「師」で表す(3-3)

ところで、言葉巧みにどういうふうにして仏具を売ったかというと、二人が一組になり、その中の一人が山伏姿になって物持の家の前に立ち、突如狂ったかのように大声で経をあげはじめる。あまりにも異様な様子に愕いたその家の主人が奉公人に理由を問いただす…

スペッシャリストの衿特は「師」で表す(2-3)

そして、野士は野師となった。当時、何かを商う場合は、師という字を下に付けたものである。クグツ師といえば人形遣いだし、トギ師といえば砥屋であった。別に、その人が師匠というわけではないが、師というのは個人として技を自慢出来る職業人(男性にかぎ…

スペッシャリストの衿特は「師」で表す(1-3)

-商は笑なり。 の概略はわかってもらえたと思うが、さらに、この奥底を探っていくとどうなるかといえば、かなり遠くまで遡る。商取引の歴史は長いが、もとはといえば物と物を交換することで成立していた。金銭で物を買うという行為は、ごく一部において平安…